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これによって国税の一部を地方に交付し、地方団体間の財政力の調整を行なうこととしたがって、地域間で再配分するなどということは、本来はありえないのである。 今回の措置は、応益原則に反するものであり、地方税の本質に背くものだ(単に地方税の性格づけに関する形式論ではない。
モラルハザードを強めることとなり、現実に大きな問題を引き起こす)。 第四は、こうした施策が地方の発展に資するとは、とうてい思えないことである。
それだけでなく、地方の発展を阻害する。 最も重要なポイントだ。
事業税の税収で地方格差が発生した場合、本来行なわれるべきは、各地方公共団体が企業誘致の努力を行ない、それによって事業税の収入を増やすことだ。 ただし、製造業中心の経済では、工場誘致のために工業団地の造成など大規模なインフラ整備が必要とされた。
地方公共団体だけの努力では難しい場合が多かった。 IT時代には、こうした投資は必要ない。
ソフトウェア産業の誘致に必要なのは、工業団地ではなく、良好な生活環境だ。 だから、企業誘致の可能性は増大したはずだ。

それだけでなく、地方の比較優位は増したはずなのである。 通信コストが低下すれば、人びとが集まる必要はなくなるとも考えられるが、じつはそうではなく、集積の利益が存在する。
特に創造的な仕事の場合、似た考えを持つ人びとの直接のコミュニケーションが重要な意味を持つ。 カリフォルニア州のシリコンバレーにIT関連企業が集積したのが、その例だ。
ここには、SF大学を核として意欲的なベンチャー企業が誕生し、IT革命を推し進めた。 日本でも同じことが実現できるはずである。
私は、地方都市の講演会ではいつもこう訴えるのだが、目立った反応がないのを残念に思っている。 ほかの地域で徴収した税を配分し直すだけでは、地方の発展はありえない。
自明なことであろう。 じつは、さらに悪い結果が予測される。
なぜなら、企業誘致に努めている自治体の努力に水を差す結果になるからだ。 モラルハザードを引き起こす。
「モラルハザード」とは、「努力しなくとも成果が保証されるため、人びとが努力しなくなる」という現象だ。 簡単に言えば、「まじめに働いた者がバカを見る」ということである。
これまで企業誘致に努力してきた地方公共団体は、今回の措置で「裏切られた」と感じているだろう。 モラルハザードが蔓延して人びとがまじめな努力を放棄すれば、経済は崩壊する。

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